JST へ提出した報告書の一部

 

今回招へいした高校生は中国の発展に遅れている奥地で暮らす子ども達です。都会の高校生ほど教育資源に恵まれていないため、日本でのすべてが新鮮で、受けた刺激が大きかったようです。都会の子どもほど知識や見識が多くないかわりに、素朴で素直に吸収したものが多く、滞在期間中の成長が大きかったと日中双方のスタッフが共感したものです。彼らの真面目さと質問の熱心さそして礼儀の正しさが訪問先の至るところでよく褒められました。

 

今回のテーマは農業で、農村の現実をよく知っている高校生たちは、日本の農業に関する知識や研究、学校施設などの訪問を通して視野が広がり、将来の夢ないし職業の選択に大きな変化が触発されました。目に映したものを中国の近い将来と想像し、その中にいる自分の未来像から、彼らが具体的な夢を掴むことにつながり、特に、10 日間の研修を通して、日本に来るまでは想像もしなかった日本への留学という夢がこれからの勉強の目標と励みになったことは調査結果からわかりました。引率者の五台県教育機構関係者と豊田市足助高校が相互高校生を派遣しホームステイのプログラムについて前向きに考えたいという意向が明らかになりました。

 

中国の専門高校の生徒は、エリートコースに乗っていないものの、メンタルにおいて逞しく、さくらサイエンスに選ばれた機会で、将来ローカルの中間層のリーダーになる可能性が大きいと思われます。日本専門学校への留学ルートがあれば、留学先の日本人生徒にも刺激を与え、日中両国の産業人材育成にとってwin-win になることと考えられます。専門学校の学生を招へいしたことで、日本の最先端の科学技術をはじめ、日本の産業技能及び職業教育において優れたことを知ってもらい、今後これらの分野の日中関係者の交流にいいきっかけを作ったことは大きな成果でした。今回の活動は当法人にとって、道づくりの試みで、この機会を与えてくれたJST さくらサイエンスプランに感謝します。

 

当法人は公益財団法人あすてのボランティアグループの登録メンバーですので、このプログラムの実施にあたって、公益財団法人あすてのバッグアップをはじめ、トヨタ自動車グループ関係企業や機構からのご理解と特別訪問の受け入れをいただきました。特に、あすて傘下のボランティアグループ華豊の友のスタッフ派遣で運営が成り立ったものです。十数名の在日中国人と中国語堪能の日本人の担当交代で、24 時間招へい者に付き添い、通訳をはじめ、毎日の振り返り会の参加及び一日活動記録のまとめもスタッフの仕事の一部となっています。有償ボランティアの形でこの活動に関わったスタッフの全員がさくらサイエンスプランの意義を理解し、草の根的な日中民間交流を深める様々な形と成果を実感すると共に、それに貢献した喜びと誇りがありました。ぜひこのような機会が多くあってほしいとスタッフ全員の感想でした。



スタッフ全員の支援活動打合せ

 

最後になりますが、山西五台地方は日本に対するイメージが戦争ドラマのままの地域で、教員や保護者の一部が子ども達の日本滞在期間の心配をしていると聞かされました。地元の高校生が招へいを受け日本を訪問するということは大きな話題となり、出発の風景をテレビ局に撮影され、帰国したあと、経過報告の現場も取材を受け、のちに番組で放送すると伝えられています。さくらサイエンスに参加した高校生たちの体験と感想をマスメディアの報道を通して、その地域の人々の日本に対する理解に大きな変化を与えるという効果も大きいと確信しております。

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